ねぶた流し写真発見!

 青森ねぶたの起源を辿って行くと、日常での穢れを灯籠に込めて川や海に流す行事があり、戦前までは提川にねぶたを流していたようです。戦後も行われていたようですが、それを記録した写真は殆ど残されていませんでした。

 この度、写真家藤巻健二氏の膨大なライブラリーの中から、それを裏付ける写真が数枚発見されましたので、ご紹介します。

 阿南透・竹浪比呂央両氏の鑑定によると、撮影年は昭和39(1964)年のナヌカビ、場所は青森市堤橋のたもと、諏訪神社対岸からです。流されているねぶたは、消防第三分団野脇、北川啓三作の「誉の消義隊」。ねぶた関係者も「大変貴重な映像資料」と、驚いています。

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藤巻ねぶた流し1964web.jpg消防第三分団野脇ねぶたweb.jpg



Muzicons.com  竹浪比呂央氏による解説

Muzicons.com  竹浪比呂央氏セミナー「ねぶた」(90分)

 この写真発見後、ネットを通じて、青森八郎さんから下記のような非常に興味ある新聞記事の提供を受けました。青森八郎さんに深謝申し上げます。

「昔しのびネブタ流し
青森 笛を合わせ堤川で

 青森ネブタまつりは七日夜の海上運行でフィナーレを飾ったが第三分団第四班野脇町会が往時をしのばせるネブタ流しを堤川でやって道行く人の足を止めた 昔はまつりが終わるとネブタを川や海に流して別れを惜しんだものだが、ねぶたにロウソクの代わりに電球を用いるようになってからはこの習慣も姿を消していた。同町会の出し物は「五条橋」ことしは「市長賞」のほか「九年賞」を受けたので、ひとつ昔なつかしいネブタ流しを披露しようということになったもの。同日夕方堤橋の少し上流から流したが、電球のとりはずしで形こそ若干くずれたものの、笛の音に合わせ「ネブタッコ流れろ、まめのはっことつばれ」のかけ声もよろしく、水につかってネブタ流し。岸から歓声がどっとわいた。(昭和36年8月8日東奥日報)」

 この記事からすると、昭和36年にはすでに、提川でのねぶた流しは行われていず、昔を懐かしんでそれを再現することが一部のねぶたで行われていたということがわかりました。(平成25年11月24日)