津軽地方に主な購読者を持つ「陸奥新報」に、青森県民芸協会会長の會田秀明が「民芸に学ぶ」と題して、平成23年9月3日(土)より、毎月第1・3土曜日に1年間にわたって、24回連続講座を担当することとなりました。その紙面をこの度、陸奥新報社の許諾を得て、ネット公開できる運びとなりました。関係者の皆様方に、厚く御礼申し上げます。
第1回「民芸品とは」
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第1回「民芸とは何か」音声版
第2回「こぎん刺し」
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第2回「こぎん刺し」音声版
第11回「作家と職人」
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第11回「作家と職人」音声版
「民芸に学ぶ」を読んで 橋本尚美(青森県民芸友の会会員)
豊かさを問われる時代に生きる私たちは、ものごとの本質の見極めが肝要である。知識に偏重し、効率優先のスピード社会の中で、感覚を磨く機会が乏しい現代は、日々の暮らしそのものの累積がものを言う。物も者も、永く付き合うことを根底に接しなければ、無意識のうちに大切なものを置き去りにしてしまう。失いたくないものがあるということが豊かさであり、伝えたいもの残したいものがあるということもまた豊かさだろう。
民芸品は単なるモノではない。使う人を想い、心を込める。丹念に、刺す。練る。織る。心づかいが織り成され、息づかいが吹き込まれたそこに、造り手の生きる姿がある。手の温もりは正直に、確かなものを造る。そして、語る。品々を貫いている精神、魂、生きざま。これほど雄弁な品があるだろうか。これまでも、これからも、幸福の真髄を脈脈と訴え続けるだろう。実用を超え、嗜みを超え、高潔な哲学を。
生活の一部を担い、果ては自己の存在証明にもなり得る逸品は、五感に心地よく、飾らない美しさが滲み出ている。どうあれば愛用されるのか、達観の基に丹精尽くされた民芸品の数々。紹介とともに、絶大なるご教示を賜りましたこと、末筆ながら會田先生に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。