市浦村歴史民俗資料館は平成元年8月1日に開館しました。開館を記念して「阿倍・安藤氏展」を開催し、高い関心を集めました。平成2年からは常設展示場として市浦村の歴史と文化の紹介に努め、現在に至っております。
この間、市蒲村に所在する十三湊遺跡が平成3〜5年に行われた国立歴史民俗博物館の調査によって、北日本を代表する大規模な中世湊町であったことが明らかになり、現在も市浦村と青森県教育委員会によって、継続した発掘調査が進められています。
そこで今回、平成11年5月1日から十三湊に関するこれまでの研究成果を紹介するために十三湊展を開催することになりました。今回の展示は平成10年に行われた青森県立郷土館と国立歴史民族博物館による十三湊展を踏まえたものとなっています。
展示室の中央には市浦村の史跡がひと目で分かる地形模型を配置しました。コルトン写真で遺跡を選び、ランフで位置を確認できるしくみになっています。
ここでは岩木川の河口に位置する十三湖と日本海に囲まれた市浦村の雄大な自然と中世港湾都市十三湊の景観をイメージしてもらおうと、写真パネルやイラストを多く展示しています・
また、十三湊遺跡で領主館が推定されている現在の十三小学校周辺の発掘調査から出土した遺物を中心に展示しています。
その内容は豪華な陶磁器や日常雑器、多彩な鉄製品や銅製品の数々、北方の産物であるガラス玉、生活に必要な飲料水を確保するための木製の井戸跡(井戸枠や曲物)を展示しています。
展示室の中央には韓国新安沖(しんあんおき)で沈没した元代末期の日元貿易の様子を明らかにした外洋船の模型を展示しています。当時、積荷をいっぱいにした外洋船が東シナ海を航海した様子や十三湊に入港する姿までも思い浮かべることができます。
また、ここでは武家屋敷跡や町屋跡とされる場所から出土した遺物を中心に展示しており、十三湊に暮らす人々の様子が分かります。さらに、展示ケースの璧いっぱいに十三湊から出土した陶磁器片を展示しました。十三湊をめぐる中世陶磁の流通をテーマに国内はもとより遠く中国から運ばれた陶磁器がたくさん集まる様子を表しました。
ここでは、当時の日本海交易の実態や十三湊を支配した安藤氏の軌跡を紹介するために買重な古文書や絵図を複製し、展示しています。
古文書には、「大乗院文書」、浄福寺「大般若経」、「羽賀寺縁起」、慶安元年「十三絵図」など、十三湊と安藤氏や当時の日本海交易の実態を知る上で欠かせない貢重な文献です。また、中世の地割りを想像することができる明治22年の「旧十三村地籍図」も展示しています
さらに、安藤氏の精神世界を知るために、市浦村に残る中世の石造物を主に紹介しています。安藤氏に関する宗教遺跡の山王坊跡や檀林寺から出土した五輪塔・宝きょう印塔などのほか、相内蓮華庵の板碑の拓本などを紹介しています。
ここではNHKが放送した平成5年度の国立歴史民俗博物舘による十三湊遺跡の調査の様子を放映します。十三湊の全体像を捉えるために行われた学術調査で、現在も続く遺跡発掘の基礎的データを提示した責重な映像であり、十三湊の全体像を知るのに非常に分かりやすい内容となっています。
・ 休館日:月曜日(祝日と重なる場合は翌日) 冬期間(12月24日〜3月31日)
・ 入館料:一般250円 高・大学生150円 小・中学生50円
・ 問合先:市浦村歴史民俗資料館
〒037-0403 市浦村十三字土佐地内(十三湖・中の島)
電話0173-62-2775